部門概要
1.イントロダクション Introduction
私たちは、脳の表面に電極シートをおいて正確な脳波を測ることにより(脳表脳波)、性能の高いブレイン・マシン・インターフェース(BMI)を実現し、身体障害者の方々の運動やコミュニケーションをサポートする研究を進めています。
この方法は手術が必要ですが、長期間、安定して正確な脳波を測れるという長所があり、ワイヤレス体内埋込装置として利用できるようにすれば、性能の高いBMI をいつでもすぐに利用できるようになり、患者さんにとって便利で使いやすい装置になると期待されます。
身体障害者の方の運動やコミュニケーションをサポートするBMIの研究
脳の表面に電極シートを置いて正確な脳波を測り、これをコンピュータで解読し、運動やコミュニケーションをサポートする。
※音声が再生されます。
2.この研究の意義 Significance
運動神経や筋肉の障害のため、感覚は正常で考えることもできるが、体を動かせず話すこともできないという、究極のストレスにさらされている患者さんがおられます(閉じ込め症候群)。
私たちは、脳表脳波を用いたBMI により、まずこのような患者さんの運動やコミュニケーションを助け、患者さんが快適で積極的な生活を送り、介護負担を減らせるようにしたいと考えています。
最終的には200万人を越える身体障害者の方々に広く利用される技術にまで高めていきたいと考えています。
3. 研究方法 Methods
筋萎縮性側索硬化症(ALS)により手足が全く動かなくなった患者さんに御承諾を頂き、脳表に電極シートを留置し、研究を行いました。
手を動かすイメージをする時の脳表脳波を測り、コンピュータで解析することでイメージした手の動きを推定し、ロボットアームを動かすことができました。
4. これまでにわかったこと Results
筋萎縮性側索硬化症(ALS)により手足が全く動かなくなった患者さんに御承諾を頂き、脳表に電極シートを留置し、研究を行いました。
手を動かすイメージをする時の脳表脳波を測り、コンピュータで解析することでイメージした手の動きを推定し、ロボットアームを動かすことができました。
5. 今後の展望 Future
本研究プロジェクトでは、脳表脳波を測定するためのワイヤレス体内埋込装置の開発を進めて人に埋込可能なレベルにまで高めるとともに、ロボットアームの開発を進めて、高機能なものにする計画です。
そしてこれらを用いた長期間の臨床研究を行い、治験・実用化を実現したいと思います。
また、運動に関係した脳波を測る研究だけでなく、感覚に関係する脳の領域を刺激することにより適切な感覚を起こす研究も動物実験にて進め、将来的には人への応用を目指します。